【ゲームセンター】
ゲームセンターでここまで白熱したエアホッケーを見たことないなぁと思いながらガンマ達を興味深く見るヘド博士。カッカッカッと一定のリズムで彼らはパックをお互いのゴールへ入れようと打ち合っていた。力加減を間違えれば彼らなら壊してしまうだろう人の遊具、しかしながら絶妙な加減を難なくこなし長い打ち合いを繰り広げている。
「隙あり 1号!」
2号の言葉と共にガコンと1号のゴールにパックが入った音がした。その際に小さいながらも舌打ちをした1号、それに気づきヘド博士が声を掛ける。
「まだ同点になっただけだから落ち着け1号ー」
「ヘド博士ずるい! ボクにも応援下さい!」と2号から要望が入る。
「1号を翻弄して得た点は大きいぞ2号、頑張れー」
「ありがとう御座います、ヘド博士!」
嬉しそうに博士にお礼を言えば「絶対に勝ちますから!」とマレットを持つ手を1号に向けて宣言する2号
「……言うじゃないか2号」
声が低くなり、睨むかの如く2号に目を向ける1号
『1号遊びだってこと忘れかけてないか?』
ヘド博士が心配に思いつつも1号から再び長いラリーが始まる。だが先程より音が鈍く、力が込められているように聞こえる。
「おーい、破損したら約束したこと無効だからねー」
「大丈夫です、ヘド博士っ!」
「無事にこの試合勝ってみせます!」
ガンマ達の返事にホントに大丈夫なのかと不安が徐々に膨らむがまだ様子を見る博士。
「1号あんまり気張ると破損させちゃうんじゃない……のっと!」
「そっくりそのまま返させてもらおう……かっ!」
「「博士からのご褒美は(オレ、ボク)がもらう!」」
ガンマ達の打ち合いの激しさにギャラリーが出始めていたのに、そう大きな声で叫ばれてヘド博士は顔を赤らめて俯く。
『ただガンマ達の力のコントロール練習に良さそうだと思って薦めただけなのになぁ……』
2号に対戦するなら勝者にご褒美下さいと言われ、やる気が出るならと2つ返事したことを少し後悔していればパキリと割れるような音が聞こえ慌ててエアホッケーの盤上を見る。
「「あ……」」
「あー、予想どおりの結末か……盤面が無事みたいで良かった」
両者の持つマレットも見てみれば所々が欠けたり亀裂が入っているのも確認できた。
「破損したので約束通りご褒美はなしです」
博士の言葉にガンマ達はガクリと膝を着いて自身の行いに後悔していた。
ゲームセンターに破損した遊具代を支払い、その場を後にする3人
「ところで明確にはしてなかったけど、ご褒美何が欲しかったのさ?」
「欲しいものというより……」
「して頂きたかったことが……」
「? 何して欲しかったの?」
「「博士からのキスです!」」
「……無効になってくれて良かったよ……けど、まぁ結構いい感じにコントロールできてたのは褒めないとね」
ちょっとしゃがんでとガンマ達に言い、素直に博士の高さに屈む2人に軽くだがそれぞれの頬にキスを送る博士。
「っ!」
「は、博士……」
目を見開いて固まる1号と触れてもらえた側の頬を手で押さえ嬉しそうに口元を震わせる2号に博士は数歩先に歩いたあと振り返り彼らに向かってにやりと笑った。
「ほっぺくらいならね。次は最後まで力のコントロールできるといいな」
「こ、今度こそ1号に勝ちます!」
「2号に圧勝してみせます」
「ふふっ、成長している所見せてくれよなガンマ」