ボクらの新居

【ガンマ1号2号×ヘド】




 2号が戻ってきて暫くしてからブルマ博士から声を掛けられた。次の休みは空けておきなさいと。理由を聞いたがなぜか秘密と言われた。
 まだ返しきれていない恩がありすぎるので素直に従い、休みの日に案内されたのが西の都の端っこで、今目の前にはファミリー向けの広さを持つ一軒家があった。

「うっわぁ……」

 結構な広さに声を出してしまった。

「どう?あんた達なら飛べるし通勤不便とかなさそうだからいいと思うんだけど。
どうも社員の子達って通勤時間重視だからここ人気なくってねぇ…」
「え?」
「折角戻ってきたんだから住み込みより3人暮らしのがいいでしょ?」
「へ?」
「だからプレゼントその2よ」
「えぇっ!?」

 サプライズ成功ね!と笑うブルマ博士に呆気にとられた。

「ちゃーんと中にはうちで使用している研究室と同じようにリノベーションしてあるわよ。
それから家具も最低限入れてあげたし…あ、勿論簡単に壊れないように強化も施してあるからガンマ達もソファやベッドで寛げるはずよ」

 世界一の大富豪の考えが大きすぎてついていけない。
 ここまで人の好意に甘えて良いのかと頭を抱えていれば

「ブルマ博士、言われていたもの持ってきました」
「あ、ヘド博士ー!」
「……ガンマ?」

 今日は互いに用事があるから別行動だと朝話していたのにここで合流するとは思わなかった。

「お疲れ様、ありがと」
「いえ」
「でも何でボクらの荷物なんですか?」

 2号の言葉に2人の荷物がボクらが使用している私物が入っていると判明。これはあれだ、完全に引っ越しの流れだ。ガンマ達も不思議そうにしているから完全に引っ越す側に秘密にされていた模様。
 確かにいつかはブルマ博士のお宅から引っ越さなければとは思っていたからありがたい話ではある。追い出される形ではないし、今ブルマ博士に説明されている2人が、特に2号はボクの方を見て目を輝かせてこちらを見ている。くよくよ悩んでも意味がないからここはまたブルマ博士の好意に甘えてしまおうと腹を括る。

「すみませんブルマ博士、プレゼント有難く頂戴します」

 ボクが頭を下げれば少し遅れてガンマ達もお礼を述べてお辞儀をした雰囲気を感じた。

「いいえー。用意した以外に必要そうなのは買えそうかしら?」
「はい、お陰様で3人分の給与がありますので」
「そう。なら家具の説明とかは必要かしら?」
「カプセルコーポレーションの物でしたら扱いは大丈夫だと思います」

 ボクの受け答えに頷いて返事をするブルマ博士。

「ならもう私は退散しようかしら。これから荷解きだものね」
「量は少ないので予定通りの今日明日のお休みで大丈夫です」
「真面目ねー、あと1日くらいお休みとって休息しなさいよ。これ決定事項ね」

 ブルマ博士の決定事項に文句などなく、「ではお言葉に甘えます」と返した。

「ヘド博士ー! 室内探検してもいいですか?」
「2号、先に荷解きが終わってからにしろ」
「別にすぐに終わるだろうからいいよ。満足したら荷解き手伝うように」
「了解しました!」

 ブルマ博士が帰宅された後に残されたボクらは新しい我が家に足を踏み入れて荷解きをしていた。
 すでに電気、ガス、水道が使える状態になっていることに博士の用意周到さに舌を巻く。
 あちらで居候の身だったので私物はそんなにない。1号に荷物の置き場を伝えてボクはブルマ博士が用意してくれた機材に不具合がないかチェックをすることにした。
 機材に足りないものもなく不具合もなし。無事に使えそうでガンマ達の充電にも備えられることに安堵して大分経ったが荷解きがどうなったか見に移動する。

「お疲れ様1号」
「労いのお言葉ありがとう御座います、荷解きは完了し今は掃除を簡単にですが行っています」
「2号は?」
「室内探検が終わり、寝室の掃除をしています」

 1号の話を聞いていればドアが開いて2号がやってきた。

「あ、博士お疲れ様です!」
「2号もお疲れさっ!?」

 ボクに近づいてきた2号に労いの言葉を掛けようとすれば突然抱っこされた。

「待て2号!」
「1号もちょっと来てー」

 何事かと驚きながらそのまま2号に連れられたのは寝室。

「へ?! え……ちょっと2号!?」

 2号の行動に慌てて声を掛けるがやさしくベッドに降ろされる。次いで2号がベッドに上がり、「何をするつもりだ2号!」と怒鳴る1号もベッドに乗っかった。

「ほら博士、1号これ凄くない?ベッドが全然壊れる気配がないんだよね」

 2号の言葉にはたと気付く。確かにガンマ達とボクの重さを考えたらミシミシと音を立ててもおかしくない、最悪壊れたって仕方ないくらいの重量だろうにその様子がない。マットレスは厚みがあって程よい柔らかさだし寝心地も良さそうだ。RR軍で使用していたベッドを思い出し比べるまでもなくこちらのが気持ちいい。

「え、2号ここ以外にもベッドってあった?」
「ありましたよ、寝室がここと合わせて3つありましてそれぞれ1つ」
「あと2つも同じくらい丈夫だよね、多分……」
「可能性は高いかと」

 そこまで2号から聞いていくらなんでも頑丈にしてくれてはいないかと悩む。けどボクの超天才の頭脳は最適かと予測される答えを出してしまった。

「あれ……これって……」

もしかしてボクらのことブルマ博士知ってたりする?

「わっ! ヘド博士!?」
「大丈夫ですか博士! 凄い勢いで顔が赤いですが!」
「ちょっと待って、ちょっと待って……」

 2号復活と美容製品に心血注いでた時に1号とそんなことまったくしなかったし、2号が帰ってきてからも2人とはあんまりそんな素振りをしていなかったと思う。隠れてキスくらいはしばしばしてたけど…
 え、エッチは居候の身だからするのなしって2人には言ってたし、ホント性に対して淡白で良かった自分と思っていた節がある。
 どこでバレたんだ、いつ?と悶々としていてふと目の前のガンマ達を見てまさかと考える。

「あ、あのさ……1号、2号」
「何ですか博士」
「体調辛いですか? お薬買ってきますか?」
「ボク達の性関連の話ブルマ博士に話したり……した? なーんて……」

 ボクの質問に2人してそれぞれ視線を逸らされた。

「~~~~っ!!!!」
「ヘド博士申し訳ありません!」
「ブルマ博士に一緒に寝ることあるの?って聞かれてそっちのことかと思って答えてしまいました!」

 博士の質問は川の字で寝る意味だったろうにまさかの返答をした2人に声にもならない叫びを上げた。

「ま、まだエッチはしないからな!」
「!? そんな博士!」
「折角ボクらだけの家に引っ越しして声我慢しなくてもいい環境なのに!」
「ボクはまだ大丈夫だからしない! 分かった!?」

 鶴の一声みたいに叫んでガンマ達に説教した。
 休み明けにブルマ博士にどんな顔して会えばいいのか今から頭を抱えた。