【ガンマ1号2号×ヘド】
「いちごぉー!!」
ヘド博士が休憩中に頼まれていた資料を探しに違う部屋にいたガンマ1号。
すると大音量で彼を呼ぶガンマ2号の声がフロアを満たした。
「うるさいぞ2号、一体どうし……」
「あ、いた1号!!」
部屋から出れば通路で叫んでいたようで、後ろを向いていたガンマ2号を注意しようと声を途中まで掛けて止まる。振り返った2号の腕の中にはヘド博士がおり、自身の鼓膜を保護する為に耳を塞いで苦悶の顔で耐えていた。
「博士は今休憩中だぞ、なぜ連れ出している」
「だって早く見せたかったからさー!」
1号が静かに怒りながら2号に歩み寄る。しかし2号はどこ吹く風でウキウキした様子で博士に声を掛ける。
「ヘド博士、1号にも見せてあげて下さいよ」
「むぅ……別に見せるようなもんじゃないんだけどな……」
耳を塞ぐのを止めると今度は片手で口を隠しながら2号に困惑の色を浮かべる博士。
「だって絶対1号も喜ぶと思いますから! ね、ヘド博士お願い!!」
「ぅうう……」
2号のお願いにヘド博士は根負けしたようで一度頭をガックリと落とした後に起き上がると顔を赤らめつつ躊躇いがちに舌を出した。
「っ!?」
「ね、博士と僕らお揃いだよ~」
1号は驚き、2号は嬉しそうに言う。
人の舌は淡紅色であり、ヘド博士もそうだったのに今彼の舌の上は紫でガンマ達と同じ色になっていたのだ。
バサバサッと音を立ててガンマ1号は持っていた資料を通路に撒き散らした。
「い、1号?」
驚く博士と2号、突如おぼつかない歩行でゆらりゆらりと2人の元に辿り着くとヘド博士の両肩を掴み、何やらボソボソと1号は喋る。
「え、どうした1号……聞こえな「……ですか?」
「先日の営みで博士の中に出し過ぎた我々の疑似精液のせいですか?」
「……え゛?」
「ほらー博士、1号はボクと同じ答えするって言ったでしょー。当たりだったねー」
「ぇ、ちょっ……違っ! こここれはかき氷! かき氷によるモノだから!!」
焦りながらも1号に誤解だと伝えるヘド博士は先程2号にしたことを後悔していた。
本日のおやつはかき氷であった、味はぶどう。食べている途中で2号がやってきて少しばかり談笑している時にふと小さい時によくやっていたあれを思い出し彼にしたのだ。
『2号、ボクの舌何色になってる?』
『何色ってヘド博士、健康色の淡紅色じゃないですか……ってえぇっ!?』
『ふふっ、お前達と揃いの色か?』
『え、ええっ? ぃ、いつからですか? この前1号と一緒に博士の中に出し過ぎちゃって大変だったあの時に何か体に異変が出てきたとか!?』
『な゛っ! ち、違う! これはかき氷によるもので……』
『……? かき、ごおり?』
飲食をすることがないガンマ達には食への知識は必要ないと省いたのがいけなかったのか、人からすれば定番のかき氷シロップの合成着色料が舌に付いた際の見せ合いがまさかとんでもない方向に向かうことになるとは超天才でも分からなかった。
一通り説明して納得した2号に博士は額の汗を白衣の腕の部分で拭う。
『……これ絶対1号も同じ反応しますよ博士』
2号は何やら面白い悪戯を思いついたみたいな顔で博士に言う。
『寧ろボクよりもよっぽど面白い反応見せてくれるかも!』
嬉々として博士を抱き上げた2号は部屋から通路へ出ると1号を大声で呼んだのだった。
「……で、理解してくれたか1号」
「あ、は……はい、私たちの営みの影響はまったく関係なく、そいういった食事であり舌を見せるのも作法のようなものであると……」
「作法とまではいかないが……まぁそう感じてくれてればいいさ」
「了解しました。次からは対処可能です」
取り乱してたのがウソのように冷静になった1号を見て、また2号の時と同じように出た汗を白衣で拭う博士
「でも全然栄養もない氷と合成着色料と香料のシロップでここまで騒ぎを作るなんて凄いものですね、かき氷!」
散らばった資料を拾い休憩していた部屋へ3人で戻ると食べていたかき氷は溶けて液体と化しており、それを見ながら2号は感心したように眺めて言う。
「しかし博士がいつも食べているお菓子の方が栄養もありますし、博士の好物なので良かったのではないですか?」
1号の問いに博士は「いつものは1年中食べれるけど、かき氷は季節限定だからなー。人は限定って言葉には弱いものなんだよ」と答えた。